とても仲の良さそうな家族に見えるが、実際は様々な問題を抱えている家族
公開日:2020年11月11日/更新日:2023年3月18日
監修:遠藤まなみ(代表カウンセラー)

「嫁姑問題」「家庭内暴力」「虐待」「父親のモラハラ」「毒親の父母」「過干渉」「兄弟姉妹問題」「同居生活のストレス」!?なぜ家族問題は後をたたないのか!?


現在、日本の家族や家庭は、歴史上最も様々な問題を抱えていると言えるでしょう。

 

日本は第二次世界大戦後から目覚ましい経済発展を遂げ、世界でもトップクラスの最も進んだ情報化社会を築き上げてきました。

 

ところがその社会状況を背景に、現代の家族には様々な問題が起こり、それらの問題と待ったなしで向き合わなくてはならない状態となっています。

 

経済の低迷や女性の社会進出の影響もあり、共働き夫婦も増え、家族団らんの時間も少なくなり、子育てを代表とする家族機能の衰えが目立ちはじめています。

 

そして親子間もしくは夫婦間の暴力や暴言、虐待、モラハラ、パワハラ、いじめ、過干渉、不登校などの問題、また嫁姑問題、兄弟姉妹問題、毒親問題、きょうだい児問題など、家族内のあらゆる角度からの問題が社会問題になりつつあります。

 

しかし家族問題はなかなか社会の表舞台に出てくることはありません。

 

なぜなら家族問題は「家族」という小さな集団の世界の中で起きている「人間関係の歪み」が原因だからです。

 

つまり、閉鎖された世界の中で起きている問題(家族だけしか分からない闇の部分)なので、外部(近所に住む人や、年に数回しか会わない親戚など)にはなかなか見えにくいということなのです。

 

たとえば、いつもニコニコしていて仲の良さそうな夫婦や家族でも、一歩その家族の中に入ってみると、大きなギャップを感じるくらいとても複雑な問題(機能不全家族、家庭崩壊など)を抱えているケースは少なくありません。

 

家族問題で悩んでいる人がカウンセリングを受けた相談事例


家族問題には様々なケースがありますが、長期間に渡ってその悪環境に慣れてしまい、実はそれ自体を問題だと認識していない人も多くいると言われています。

 

そして長期間に渡って悩み苦しみ、精神的な慢性的不調に至るケースも多く見られています。

 

実際にカウンセリングを受けたクライアントの相談事例をご紹介します。

 

【相談事例①】SEXばかり要求してくる性欲が強いモラハラ夫にもう絶えられません。なんとか逃げ出したいのですが私はどうすれば良いのでしょうか?(兵庫県40代女性)

SEXばかり要求してくる性欲が強いモラハラ夫に悩まされている女性
46歳の専業主婦です。

夫とは28歳のころ知人の紹介で知り合い、2年の交際の後結婚しました。

 

子どもは高校生の娘がひとりいます。

夫は自営業で、普段は自宅(実家)兼事務所で仕事をしています。

また夫の両親も一緒に生活しています。

 

結婚して16年目になりますが、実は結婚してからこれまでずっと、夫の性欲とモラハラで悩んできました。

 

夫は夜になると毎日のように私にSEXを求めてきます。

そしてSEXの誘いに応じれば機嫌がよく、断ることが何度か続くと機嫌が悪くなります。

 

そんな時は必ずといって家事に対する不満や文句の他に、「俺の誘いをなぜ断るんだ!」「誰のおかげで今の生活ができると思ってるんだ!」「今すぐ荷物をまとめてここから出ていけ!」という言葉をぶつけられるのは日常茶飯事です。

 

最近でも、生理を理由にSEXを断ると、口でして欲しいと要求されました。

それも断ると急に機嫌が悪くなりました。

 

その後リビングに移動した私を追いかけてきて、「俺が寝不足になって病気になったらお前はどう責任を取るんだ!」と怒鳴り始めました。

 

リビングには娘がいたこともあり、夫の言葉に対し何も応えず無視しました。

私が何か言い返したら、娘の前だろうが何を言い出すか分からないからです。

 

結局行き着くところはSEXで、SEXさえしていればご機嫌で断れば不機嫌、そんな夫の考え方が私は理解できません。

 

ずっとこのような生活を続けてきましたが、最近になってモラハラという言葉を知り、私が夫から受けてきたのはモラハラだということが分かりました。

 

夫には愛情がまったくなく、ここから何とか逃げ出したいと思っています。

 

でも娘のことや経済的なこと、それにこの環境の中で16年過ごしているので、この生活を変えたくても不安が勝り前に踏み出せずにいます。

 

がんじがらめになっている私は、この先いったいどうすれば良いのでしょうか?

【相談事例②】兄の家庭内暴力で家族が滅茶苦茶になっています。これから先どうしていけば良いのかアドバイスいただけないでしょうか?(埼玉県20代女性)

兄の家庭内暴力で家庭崩壊が起こり、精神的に辛い毎日を過ごしている女性
私は27歳の女性です。

昨年までは両親と兄の4人で暮らしていましたが、現在は両親と3人で暮らしています。

 

私には35歳の兄がいるのですが、親への暴言暴力がずっと続いていて困っています。

中学を卒業後は高校にも行かず、また働くことも一切せずに20年近く親を苦しめてきました。

 

親の方もこのままでは良くないと、色々な所に相談したのですが、どこに相談してもまったく参考にならず解決に至りませんでした。

 

1年前のことですが、両親は60代で年金生活なのに、「貯金を崩してもいいから俺に使え」と言ったり、突然「東京で一人暮らしがしたい」と言い出したりしました。

 

しかも東京で暮らす家賃は、親に払ってもらおうと考えているようです。

また家庭内暴力や暴言も毎日のように受けています。

 

東京に行ってくれたら会わずに済むので、精神期負担も少しは減るのですが、家賃を負担するほどの余裕はありません。

 

そんなこともあったのですが、家庭内暴力や暴言は問題だとして親戚の人(今は連絡が取れない)が兄を無理やり病院に入院させてくれました。

 

そのおかげで家庭内は一時ホッとしたのですが、兄は内弁慶なところがあり病院では常にいい子にしているようです。

 

その話を聞きつけ、兄が入院している間に両親と私の3人で少し離れた場所に引っ越しをしました。

 

その後兄は退院し、実家で一人暮らしをしているのですが、食事や掃除、洗濯など昼から夜にかけては母が実家に戻り、兄の面倒をみているという状況です。

 

それから約1年が経過していますが、母はいまだに毎日のように金銭の要求や暴言・暴力を受けています。

 

また兄は1ヶ月前からアルバイトもはじめたのですが、その送り迎えも母がしていて、車内でも暴言・暴力があって母もかなり苦しんでいます。

 

母は今のところなんとか持ちこたえているようですが、これから先ストレスで母が精神的にどうにかなってしまうのではないかと不安でいっぱいです。

 

兄はいつ事件を起こすか分からないので、正直言って未来が真っ暗な感じです。

 

どうすれば私たちは苦しみから開放されるのでしょうか?

これから先どうしていけば良いのかアドバイスいただけないでしょうか?

【相談事例③】しつけと虐待の境界が分からず、親に洗脳されているようで毎日が辛いです。私はこれから何を信じて生きていけばいいのでしょうか?(岡山県20代女性)

しつけと虐待の境界が分からず、親の洗脳に苦しめられている若い女性
私は24歳で両親と弟の4人で暮らしています。

両親は夫婦仲もよく、弟も素直で、家庭内はいつも笑いに満ちていて幸せです。

 

また友人関係もいい子ばかりで、自分の人生は恵まれすぎていると感じています。

 

でも今私は自殺願望に悩んでいます。

 

気分の落ち込みや無気力、自分への怒りや憎しみ、嫌悪感、無価値感、また突然訪れる突発的な悲しみや自責感など、2年くらい前から精神的な苦痛に突然襲われるようになりました。

 

自殺を考え始めた頃、子供の頃の出来事を急に思い出すようになりました。

それは中学生を卒業するくらいまで、毎日のように親から軽い体罰を受けていたことです。

 

子供の頃の記憶はほとんどなかったのですが、当時毎日のように殴られたり叩かれたりしていた記憶が少しずつ蘇ってきたのです。

 

もちろん親にはこのことを言えないので、友達に相談したところ「それは虐待だよ」と言われました。

 

ただ私自身は虐待だとは思っていませんでしたが、人に色々と聞いたり調べたりするうちに、やはり私が両親から受けていたのは虐待なのだと認識するようになりました。

 

以前受けていた体罰については、怪我になるまでのことはなく、あっても軽いアザができる程度です。

 

親の機嫌や飲酒が原因で殴られたことはありませんでしたが、私が悪いことをした時(勉強、嘘、門限、口答えなど)は竹の棒みたいなものでお尻周辺を100回くらい叩かれました。

 

その他、親の怒りが爆発した時は、怪我をしない程度に殴る蹴る、食事をさせてもらえない、無視される、殺すと言われるなどがありました。

 

こういうことは世の中の家庭で普通に行われていることなのでしょうか?

 

過去毎日のように両親から受けていた出来事を思い出すと心がとてつもなく苦しくなります。

 

私が受けていたのはしつけなのでしょうか?

それとも虐待なのでしょうか?

それとも洗脳されているのでしょうか?

 

実家から出ていく勇気もなく毎日が辛く苦しいです。

私はこれから何を信じて生きていけばいいのでしょうか?

【相談事例④】妻の不倫で突然不安になりパニックに近い症状も出ています。妻の不倫は許せませんがどうすれば元に戻れるでしょうか?(福岡県30代男性)

妻の不倫を許せないが、まだ妻を愛しているので元の状態に戻したいと考えている夫
私は38歳の会社員で、共働きの妻(32歳)と子供2人(8歳、4歳)の4人で生活をしています。

 

実は現在妻が不倫をしていて、不倫に対する対処やこれから先の妻との関係に悩んでいます。

妻の不倫相手は妻の会社の上司(もしくは先輩社員)だと思われます。

 

関係は半年くらい前からで、どちらから始まったかは分かりませんが、おそらく妻の方からアプローチしたような気がします。

 

発覚したのは3ヶ月前で、普段と違う怪しい言動をすることがあり、こっそりとスマホのLINE履歴を確認したところ、半年前くらいから毎日のようにやり取りしていることを発見しました。

 

最近では、私が出張でいない時、子どもたちが寝ている深夜にリビングで不貞行為をしていたようです。

 

私が妻の不倫を知っていることを妻はまだ知りません。

今は不倫調査専門の探偵に依頼して、不貞行為の証拠をつかんでいるところです。

 

私自身、妻との関係は良好で笑顔で会話もしますし、子どもたちの将来の話しなどもするので、離婚をするつもりはないようです。

 

もちろん本当の妻の本音は分かりませんが、妻のLINEの履歴を見ると、私とは家族愛で不倫相手とは恋愛を楽しんでいるような感じが読み取れます。

 

私としては、不貞行為の証拠を元に妻と話し合いをして、今までのように関係を修復したいと考えています。

 

それは子どもたちのためではなく、私自身がまだ妻を愛しているからです。

 

もちろん犯した罪は償ってもらい、けじめはつけて欲しいと思っています。

相手の男性には慰謝料請求などを含めた制裁を受けさせたいと思っています。

 

でも不倫の証拠を妻に突きつけたとして、妻が元のように戻ってきてくれるのかとても不安です。

 

また心のなかでは、まだ妻を愛しているという自分と、不倫をした妻を許せないという自分がいます。

 

そんなことを考えると、突然不安と恐怖に襲われパニックに近い症状も出てきます。

 

私はいったいどうするべきなのでしょうか?

【相談事例⑤】機能不全家族で育ってきた私には安心できる居場所はありません。この辛く苦しい世界から抜け出すにはどうしたらいいのでしょうか?(静岡県20代女性)

機能不全家族の両親や妹から怒鳴られ泣いている女性
私はいわゆる機能不全家族で育ってきた28歳の女性で、両親と2つ年下の妹の4人で暮らしています。

 

私にとって家の中に居場所はなく、安心できる場所もなくずっと悩んでいます。

 

私自身は子供の頃からずっと、親や妹にコントロールされるのが嫌いでしたが、嫌がる度に私をコントロールしようとし、それでも言うことを聞かずいつも大喧嘩(3人対私ひとり)になります。

 

父親から怒鳴られ、母親からも怒鳴られ、そして妹からも怒鳴られ、家の中で落ち着くことはありません。

 

なにかあるとすぐにヒステリックになる両親や妹に長年苦しめられてきましたが、精神的に本当に疲れてしまいました。

 

そんな中、いつものように3人から怒鳴られている最中に私は過呼吸になりました。

原因は妹の怒鳴り声です。

 

その日両親と妹と私は、妹の誕生日のためにプレゼントやケーキを選んだり、夕食の食材を買ったりしたのですが、何が気に入らなかったのか、帰宅後に機嫌が悪くなりキレて怒鳴り始めました。

 

長年のストレスの積み重ねがあり、妹の怒鳴り声で動悸がはじまり、絶えられなくなった私はその場から逃げ出しました。

 

ところが怒り狂った妹は私を追いかけてきて容赦なく怒鳴り、言葉の暴力を浴びせてきました。

それにより私はストレス反応で過呼吸を起こしてしまいました。

 

その後過呼吸はなんとか落ち着いたのですが、母から「怒らせたのはあなたなんだんから謝ったら」「あなたはお姉ちゃんなんだから折れなさいよ」という信じられないことを言われました。

 

過呼吸を発症してしまうという、私にとっては一生忘れられないショックな出来事だったのに、両親や妹はなんとも思っていないようです。

 

それがとても悲しくて寂しくて悔しくて、もうこの家の人たちとはやっていけないのだと心に浮かびました。

 

自分の力でこの地獄のような場所から抜け出したいけれど、私にはその力がないのでどうすればいいか悩んでいます。

 

この辛く苦しい世界から抜け出すにはどうしたらいいのでしょうか?

お互い感情的になってしまうことの多い家族間の問題には第三者が必要!問題解決を効率的にお手伝いするのがカウンセリング

クライアントの家族問題についてカウンセリングをしている女性カウンセラー
いかがでしょうか?

実際にカウンセリングを受けたクライアントの、リアルな家族問題の相談事例を5つ紹介しました。

 

それぞれに共通して言えることは「辛いと感じているのに身内だからと放置している」「すでに共依存状態になっているので身動きが取れない」「家族問題の専門機関に相談していない」ということです。

 

そもそも家族内で問題が起きるのは、家族内の誰かの強い影響力や考え方が元になっていて、それが家族という狭い世界の中で起こっている出来事なので、そのまま時間をかけ放置していたとしても状況が変わることはほぼありません。

 

つまり家族内で誰かが辛い、苦しいと感じていたとしても、それ以外の人には異常どころか当たり前のこと(むしろ正しいことをしている)だと認識しているのです。

 

家族内での問題を着実に解決するためには、家族それぞれを俯瞰(ふかん)的に見ることができる存在である第三者が必要です。

 

今回ご紹介したクライアントの相談事例も、家族の間に第三者としてカウンセラーが入ることで問題解決に繋がっていきました。

 

負のスパイラルに陥ってしまった家族にとって、話し合いを進めていくには第三者の協力が重要です。

 

その第三者は、とにかく誰でも良いというものではありません。

 

たとえば信頼できる知人や友人、身近な親戚、弁護士、警察、カウンセラーなど、家族に起こっている問題に合わせた適切な第三者を選択する必要があります。

 

たしかに血を分けた家族、まして一つ屋根の下で寝食を共にし、共有した数多くの思い出、一緒に笑ったり泣いたり、良きことも悪いことも時間が経過すればすべて懐かしい良き思い出となるのが家族です。

 

ところがその家族という枠が、時として誤った考え方を持ってしまうケースもあります。

 

たとえば家族問題としての、暴言(名誉毀損罪、侮辱罪)、暴力(暴行罪)は一般的に考えてみても犯罪ですし、不倫やセクハラ、パワハラ、モラハラなども被害者が損害賠償を求めて民事で訴訟を起こすことができます。

 

家族が原因で辛い、苦しいと感じていたとしたら、それは「家族問題を解決するタイミング」であることに気づいてください。

 

心に感じたメッセージを絶対に無視しないでください。

そしてほんの少しだけ勇気を出して、今の状況から抜け出す行動を起こしてみてください。

 

この記事があなたの人生をより良くするきっかけになれば幸いです。

 

<家族問題で悩む人におすすめの参考サイト>