精神科や薬物について考える女性
公開日:2017年12月11日/更新日:2024年11月6日
監修:遠藤まなみ(代表カウンセラー)

精神科とは?


現代社会において、ストレスを感じない場面はほとんど存在しません。

  • 受験や入試試験
  • 就職活動、入社試験
  • 仕事や学業の引っ越しによる生活環境の変化
  • 学業、仕事での人間関係
  • 恋愛、結婚、離婚の悩み
  • 家族、親戚、ご近所の問題

 

など、誰もが少なからず悩みや苦しみを抱えながら毎日を過ごしているのではないでしょうか。

 

そんな時、

  • イライラしたり不安になりやすい。
  • 疲れが取れない、慢性的な疲労感。
  • やる気が出ない、弱気になってしまう。
  • 落ち込んでいて夜眠れない。
  • 頭痛や肩こりが続いている。
  • 便秘や下痢などを繰り返しやすい。
  • いつもの自分じゃないような気がする。

 

こういった症状が出ている場合は、心のバランスを崩している可能性があります。

 

もしそんな状態が1週間から2週間続いたら、

  • 単に体調が優れないだけだ。
  • まあそのうちに治るだろう。
  • 精神科や心療内科に行くほどのことでもない。
  • 精神科や心療内科には抵抗がある。

 

といったような自己判断をせずに、速やかに近くの精神科を受信し専門の医師に相談することをおすすめします。

 

精神科とは、心の症状や病気を専門とした、心の病気そのものの治療を行う機関です。

 

また先ほど挙げた症状の他に、

  • 気分障害
  • 睡眠障害
  • 幻聴や幻覚
  • こだわりや物忘れなどの認知症
  • うつ病、躁うつ病
  • 統合失調症
  • パニック障害などの不安障害
  • 強迫性障害、PTSDなど
といったような心の病気を専門として心療を行っています。

薬物療法とは?


では次に薬物療法とはどういったものなのでしょうか?

 

薬物療法とは、前項の「精神科とは?」で挙げた

  • 気分障害
  • 睡眠障害
  • 幻聴や幻覚
  • こだわりや物忘れなどの認知症
  • うつ病、躁うつ病
  • 統合失調症
  • パニック障害などの不安障害
  • 強迫性障害、PTSD

 

といったような心の病気に対して、生物学的(脳科学的)な要因に働きかける薬物を用いた治療です。

 

精神障害に対する薬物療法は最も基本となる重要な治療法で、治療のタイミングは精神障害のピークから始めることが多くなります。

 

そもそも薬物療法には2つの目的があり、1つ目の目的は

  • 幻覚や幻想
  • 不穏、興奮
  • 不安や緊張
  • 抗うつ、躁うつ
  • 不安、恐怖、脅迫
  • 不眠、睡眠障害

 

などの様々な症状の緊急的な改善です。

 

また2つ目の目的は、症状が改善し精神が安定してきた後の再発予防になります。

 

薬物療法には精神障害の症状改善だけでなく、その後の再発を予防する作用もあるという部分が重要なポイントになります。

 

なんとなく症状が良くなったからといって、薬物療法を不用意に中断することで再発につながる可能性が高くなるので、専門の医師との入念な細かい確認が必要になります。

 

そして注意点としては、薬物療法が心の病気すべてに有効なわけではありません。

 

薬物療法を基本として、精神療法(心理カウンセリング)、生活指導、リハビリテーションなどを必要に応じ組み合わせて行くことが大切です。

心理カウンセリングとの違いは?


それでは続けて、精神科や薬物療法が心理カウンセリングとどう違っているのかを紹介していきます。

  • 「精神科に通い、薬物療法を受けていれば精神障害は治るんじゃないの?」
  • 「精神科の先生と話をしたり相談していれば大丈夫じゃないの?」
  • 「精神科の先生と話すのと、心理カウンセラーと話すのでは何が違うの?」

 

といったような疑問に対して、どのような違いがあるのかをお話していきます。

①速効性があり1番効果が高いのは精神科や薬物療法


心理カウンセリングには様々なメリットがありますが、カウンセラーに相談したり話し合ったりするのが日常的になっているアメリカや欧米諸国のような習慣はまだ日本にはありません。

 

もちろん日本でも医師から特定の心理ケアを受けた場合のみ健康保険が適用になりますが、アメリカや欧米諸国ではカウンセラーに相談した場合、基本的にすべてのカウンセリングに保険が適用できます。

 

現代の日本では精神的に悩んだり苦しんだりした場合、ほとんどの人が

  • 心理カウンセリングを受けてみよう。
  • 悩みや問題をカウンセラーに相談してみよう。
  • 話を聞いてもらってメンタルケアしてもらおう。

 

という考え方を持っていません。

 

だいたいの場合は精神科に通い薬物によるケアで対応しています。

 

初めにお伝えしておきたいのは、精神的に悩んだり苦しんだりした場合に1番効果の高い方法は、精神科や薬物療法であるという事実なのです。

 

人間には本来、精神的にも肉体的にも自然治癒力というものを持っています。

 

たとえば料理をしていて包丁で少し指を切ってしまったとします。

 

そうすると傷口から血が流れ、いつか出血は止まり、そして傷口は塞がり、かさぶたができ、しばらく経てば皮膚は元のように戻ります。

 

これは精神的な部分にとっても同じで、心も自然治癒力で元の状態に戻そうとする力が働きます。

 

こういった自然治癒力が人類の繁栄を支えてきたと言っても過言ではありません。

 

そして人間は決して弱い存在ではなく、精神的にも肉体的にもこの地球上で生き抜く力を持っているのです。

②心のリハビリと自然治癒力を引き出すのが心理カウンセリング


ではなぜ悩みや問題を抱えたまま、何年も苦しむケースがあるのでしょうか?

 

それは本来持っている、心の自然治癒力を邪魔する行為をしているからです。

 

たとえば骨折した時は自然治癒力で治す、なんていう発想はありませんよね?

もし骨折してしまったら迷わず病院に行くはずです。

 

そしてその時に、痛みを緊急的に回避するために痛み止めの薬や炎症を抑えるための薬も使います。

 

でも痛み止めや炎症を抑える薬を使うのは初期の段階だけで、その後は薬を使わずリハビリなどをして完治させていきます。

 

精神的に悩んだり苦しんだりして心の病気を治療している時も同じで、心が本当に苦しい状態の時こそ、薬物でのケアは最大の効果を発揮するものなのです。

 

そこである程度薬物での効果が出てきたら、次のステップであるリハビリとして、薬を減らしながら心理カウンセリングを行っていくのがベストなのです。

 

つまり薬物療法と心理カウンセリングはセットで考えるもの、またこの2つは切っても切れない存在であるということなのです。

 

だからこそ、

  • 薬物を使う治療は良くない。
  • 心理カウンセラーに相談するのは良くない。

 

といった偏った考え方や固定観念を持たず、自分にとってどのタイミングでどのような方法を選択していくのが一番良いのかを知る必要があります。

 

精神科や心療内科の先生、心理カウンセラーに相談すれば、自分には見えなかった部分や適切なアドバイスを提示してもらえるでしょう。

 

精神科や薬物でのケアは緊急的・応急処置的な役割となりますが、心の悩みや苦しみを本当に完治させるには、本来備えている自然治癒力を使えるようにならなくてはなりません。

 

そこで心理的なカウンセリングが必要となってくるのです。

 

カウンセラーから様々な精神セラピーやメンタルケアを受けると、見失っていた本来の自然治癒力を導き出し、安定した精神状態を保ち、明るい未来へ進んでいける考え方を持てるようになります。

 

もし長期間で薬物療法を続けているとしたら、薬を減らしていきながらカウンセラーに相談して精神セラピーやメンタルケアを受けるタイミングなのかも知れません。