クライアントにとって最適な心理カウンセリング方法を考えている女性カウンセラー
公開日:2020年9月6日/更新日:2021年9月23日
監修:遠藤まなみ(代表カウンセラー)

心理カウンセリングで一般的に使われる方法

心理カウンセリングでは、クライアントの問題や悩みに合わせ多くの種類の手法や技法を使います。

 

またカウンセラーは、クライアントが抱えている問題の内容やニーズに応じて、一番ベストな心理カウンセリング手法を組み合わせてメンタルケアを進めていきます。

 

ここでは問題解決型カウンセリングや統合的カウンセリングといった、クラアントにとって役に立つ心理カウンセリング手法や技法を簡潔に紹介します。

認知行動療法

認知行動療法の説明図
認知行動療法とは、さまざまな精神疾患の治療に効果的とされている心理療法のひとつで、ものの考え方や捉え方(認知)、言動や行動に対して働きかけることでクライアントの気持ちを楽にしたり、ストレスを軽減させる治療方法です。

 

また、クライアントの思考や行動のクセを把握し、それを元に自分の認知や行動パターンを整理して生活や仕事におけるストレス軽減にもつなげていきます。

 

もちろん人が生きていくうえで、誰でも困難な状態や辛くて苦しい気持ちになってしまう時があります。

 

そんな時はマイナス思考を持ってしまいがちになりますが、同じ経験をしても、悲観的(ネガティブ)になってしまう考え方のクセを、楽観的(ポジティブ)側にしていくことが目的です。

 

認知行動療法は、うつ病、精神疾患、パニック障害、強迫性障害、統合失調症、薬物依存症、摂取障害、不眠症などに使われていて、薬物治療と組み合わせることで治療成功率を高めることが可能になると言われています。

イメージ療法

イメージ療法の説明図
イメージ療法とは、不安や恐れ、心配事といったマイナスのイメージが頭に浮かんでしまい、精神的に不安定になってしまった状態に対して、イメージを転換してプラスのイメージにするための心理療法です。

 

クライアントが自分自身の心の中の正解に没頭することにより、イメージ力(想像力)を活発にさせ、その中から気づきを得たり精神的な安心や開放感を体験するといった効果が得られます。

 

またイメージ療法は大きく「自由イメージ法」「指定イメージ法」の2つに分類され、それぞれの特徴を効果的に活用した療法になります。

  • 自由イメージ法
    目を閉じた状態で自然に浮かんでくる視覚イメージを待つ方法で、基本的にクライアントが自由にイメージ思い浮かべる。
  • 指定イメージ法
    目を閉じた状態で指定された内容に対して視覚イメージを持つ方法で、浮かんできたイメージを通じて体験する内容や反応を取り扱う。

 

イメージを転換する練習を繰り返し、身に付けることで、クライアントが自分で感情コントロールができるようになります。

 

将来の自分の未来像、どんな暮らしや生き方をしたいのかなどイメージすることで、希望を持ち、今後の目標計画などを見えやすくすることが目的です。

 

なりたい自分に対しての目標達成と、自信を回復させるための心理カウンセリング方法です。

来談者中心療法

来談者中心療法の説明図
来談者中心療法(クライエント中心療法)とは、1940年代にアメリカの臨床紳士学者カール・ロジャーズによって創始された心理療法です。

カールロジャーズ(Carl Rogers)|Wikipedia

 

来談者中心療法は、カウンセラーとクライアントが対等な立場に立ち、クライアントが抱えている問題や悩みに対し共感的に理解していく方法です。

 

カウンセラーはクライアントの問題や悩みに対し、分析や解釈、指導を行わないというスタイルです。

この心理療法の基本的な考え方は、

  • クライアントの悩みや問題を良く傾聴する。
  • クライアントがどのように感じ、どのような考え方で捉えているのか?
  • 今まで、そしてこれからどのように生きつつあるか?
  • カウンセラーの知識や賢明さなどを振り回したり、押し付けたりしない。
  • クライアントの真剣な取り組みで自らが気づき、成長していくことができる。

 

といった点になります。

 

クライアントの自己決定能力に大きな信頼をおき、成長的な変位によって問題や悩みを乗り越えていくことが目的です。心理療法の中でも比較的ナチュラルな療法と言えます。

自我状態療法

自我状態療法の説明図
自我状態療法(Ego State Therapy)は、アメリカの心理学者であるジョン・G・ワトキンス(Jojn G.Watkins)によって考案された心理療法です。

 

自我状態とは、

  • クライアント自身の一部、あるいは一側面である。
  • 人格エネルギーを持ち、それ自身の歴史の記憶も持っている。
  • 合わせて信念や欲求、感覚体験、目的も持っている。
  • 内なる声やイメージとして現れることがある。
  • 合わせて身体感覚、感情、シンボル、カラーなどとして現れる。

 

と言われています。

 

また自我状態療法を使うタイミングとしては、

  • クライアント自身に内なる声が現れた時。
  • 内なる葛藤が客観的に強く見える時。
  • 自分自身に対して過度の批判的感情が生まれた時。
  • 日常的に説明不可能な奇妙な身体症状がある時。
  • 表情や口調が普段と極端に変わり人格が変貌した時。

 

などが挙げられます。

 

自分の中に存在している様々な自分(明るい自分、怒っている自分、恐れている自分、深く傷ついている自分、泣いている自分など)が家族を構成しているという設定で、それらのすべての自分と向かい合い、声に耳を傾けながら葛藤の解決や人としての成長を試みていくことが目的です。

 

主に自我の葛藤解決や複雑性PTSDなどの広い範囲で役立てることができる心理カウンセリング方法です。

ホログラフィートーク

ホログラフィートークの説明図
ホログラフィートークは、嶺輝子先生が考案した心理療法で、手法的には軽催眠下のトランスワークや自我状態療法の一種とされています。

 

クライアント自身が、感情や身体に起こる症状の意味を読み取り、自らの力で解決し、自らを癒やすという流れのプロセスを、カウンセラーがお手伝いする形で援助しながら進めていく方法です。

 

それにより、クライアント自身だけでは解決できなかった過去の問題やトラウマを、ひとつずつ解消していくことが目的です。

<ホログラフィートークの流れ>

  1. 課題の特定
    ホログラフィートークを行う当日に課題を決める。心(精神面)の問題だけでなく、身体的(疾病なども対象)な問題を外在化(自分の心の内で起こっていることが外界で起こっていると感じたり、考えたりする心理的プロセス、妄想)して、それらと話し合い準備を進める。
  2. 問題の核心に迫り解決する
    クライアントが抱える問題の核心場面まで退行し、さらに過去の問題場面の内容を確認し、クライアントの問題の核心に迫り解決に導く。問題の本質、その周辺にある隠れた問題まで明確にしてあらゆる影響から解放されるよう進める。
  3. 心身の健全化の構築
    健全な人々との交流を体験し、健全な行為を認識していく。今後の生活においての健全な人間関係や考え方、信念、価値観など、不安要素を取り払い安心や安全な意識を構築していく。
  4. 今後の人生にフィードバックさせる
    過去の問題から現在に戻り、以前(外在化した時)との変化を確認して、今後における注意点や問題の解決法、リソースなどをクライアント自身が身に付ける。身に付けた注意点や解決法、リソースを活かして、今後の人生をより良いものになるよう実生活に結びつけていく。

 

主に過去のトラウマやPTSD、複雑性PTSDといった、長期間に渡る心の問題に幅広く使うことができる心理カウンセリング方法です。

解決志向アプローチ

解決志向アプローチの説明図
解決志向アプローチは、ソリューションフォーカストブリーフセラピーとも呼ばれる、アメリカのBFTC(Brief Family Therapy Center)で研究・開発された心理療法です。

 

解決志向アプローチは根本的に「問題」と「解決」は関係ないという考え方で、問題は解決する必要はないという形で心理カウンセリングを進めていく方法です。

 

クライアントが抱える悩みや問題に対し、原因や改善すべき点を探り出すのではなく、解決に必要なリソース(能力、強さ、考え方、捉えから、可能性など)に焦点を当てて、それらを有効活用するよう進めていきます。

 

また「何が悪い」「何がいけない」という考える代わりに「自分が望む未来のために何が必要か?」「幸せな未来を手に入れるために何ができるか?」「どうすれば自分の手で実現できるか?」と考え、カウンセラーと一緒に解決方法を導き出していきます。

 

問題の原因を探るのではなく、

  • 自分にとってうまくいっていることをそのまま継続する。
  • 自分にとってうまくいってないことはやめて、他に違う行動を起こす。
  • 自分にとってうまくいくまで、色々な行動アクションを試してみる。

 

この3大原則を元に、うまくいったときのことをきちんと評価し、自分のとって良い状態を繰り返し行い、クライアントの潜在的な力を引き出すことで問題解決をしていくことが目的です。

EMDR

EMDR(Eye Movement Desensitization and Reprocessing)の説明図
EMDR(Eye Movement Desensitization and Reprocessing)は、アメリカの臨床心理士であるフランシーン・シャピロ(Francine Shapiro)により、1988年に開発された心理療法です。

 

彼女が公園を歩いた時に、目を左右に動かすことで否定的な思考や記憶の乱れが軽減されるということを偶然に発見し、その現象を元にEMDRの心理療法として考案・開発されました。

 

この心理療法は「眼球運動による脱感作と再処理方」と呼ばれ、特にPTSD(心的外傷後ストレス障害)に対してエビデンスのある心理療法でWHO(世界保健機構)でも推奨されている心理カウンセリング方法です。

 

クライアントは左右に動くカウンセラーの指(タッピング)を目で追いながら、過去の外傷(ストレス)体験を想起させ、記憶や身体感覚、自己否定的認知など眼球運動を意識しながらトラウマになった出来事を乗り越えていきます。

 

脳を直接的に刺激し、脳が本来持っている情報処理のプロセスを活性化することができます。

 

それにより、過去の体験や苦痛な記憶からのストレスを減少・除去させるほか、自己の見方の改善、身体的苦痛から開放させていくことが目的です。

 

懸念される点として、マインドコントロールや洗脳といったネガティブな部分がクローズアップされてしまうケースがありますが、EMDRはクライアントの脳本来の力を引き出すだけなので、そういった心配はまったくありません。

箱庭療法

箱庭療法の説明図
箱庭療法は、ロンドンの小児科医マーガレット・ローエンフェルドによって創始され、スイスの心理学者ドラ・カルフによって考案された心理療法です。

 

砂の入った箱の中に、人や動物、植物、建物、乗り物などのミニチュアのおもちゃを置き、何かを表現したり遊んだりしながら自分だけの小さな世界を築き上げていきます。

 

その行為により、自分でも気が付かなかった心の動きや表現などを読み取り、カウンセラーと話し合いながら心の問題を少しずつ解消していくのが目的です。

 

箱庭療法の対象となるのは、神経症や心身症、またパーソナリティ障害などに見られる心理的な問題を抱えるクライアントですが、

  • 自分の本当の気持ちに気づくことが苦手。
  • 自分の本当の気持ちを表現することが苦手。
  • 本当の自分がよく分からす苦しんでいる。
  • 自分の人生が流されて歩んでいる気がする。

 

といった悩みを抱えた人にも有益な効果があると言われています。

 

この心理療法では、道具として使われる砂やミニュチュアのおもちゃでイメージやアイディアを広げ、箱庭の表現や遊びの上手下手ではなく、クライアントの現実生活に近い具体的な表現から非現実的で抽象的な表現までを見ることができます。

 

つまりクライアントにとって言葉にできない葛藤や心理、イメージを表現しやすいと言えます。

 

箱庭療法は自己啓発の目的だけでなく、神経症や心身症、またパーソナリティ障害などに見られる心理的な問題など、子どもから高齢者まで幅広く用いられる心理カウンセリング方法で、日本だけでなくアメリカやヨーロッパなど世界で用いられている手法です。

 

芸術療法

芸術療法の説明図
芸術療法はアートセラピーとも呼ばれ、絵画療法、箱庭療法、造形療法、音楽療法、心理劇、舞踏療法、詩歌療法、コラージュ療法といった多彩な技法の総称です。

 

また芸術療法は絵画療法とも呼ばれ、粘土細工や画像などの表現方法を利用して、クライアントの精神状態に働きかける心理療法です。

 

幼少期に誰もが経験したことがある、

  • 粘土遊び
  • 砂遊び
  • ~ごっこ遊び
  • お絵かき
  • 落書き

 

といった表現活動は、子どもの成長や脳の発達を促す重要な役割と意味を持ち合わせています。

 

芸術療法はこういった表現活動の意味や役割を活かした心理療法で、言語だけでは説明できないクライアントの世界観や感情といったものを、音楽や絵画、ダンスなどの表現によって理解して問題解決の糸口を探り出し、自己実現への道を切り開くことが目的です。

 

芸術療法の表現手段は様々で、

  • 粘土細工、彫刻、陶芸
  • 絵画、自由画、写真
  • 俳句、詩歌、連句
  • ダンス、心理劇

 

など、クライアント自身が言葉で表現しにくい心の中の情緒や思考、願望や幻想などを、自分が好む手段で表現することで不安や恐れを解消したり、思いや感情を解放したりすることができます。

 

トラウマとはじめとした様々な疾患の治療に利用されていますが、近年では認知症患者のリハビリテーションにも用いられています。

 

また個人としても集団としても実施が可能で、子供から高齢者まで幅広く適応できる心理カウンセリング方法です。

思考場療法

思考場療法の説明図
思考場療法はTFT(Thought Field Therapy)療法とも呼ばれ、アメリカの心理学者ロジャー・キャラハン博士が考案した非主流科学の心理療法で、エビデンスのある治療法としてアメリカ政府のエビデンス登録期間(SAMHSA)にも登録されてます。

 

鍼のツボを指でタッピングすることであらゆる心理的問題を改善させていく療法で、不安や恐怖、強迫、パニック、トラウマ、ストレス、うつ、依存などのネガティブ感情をリラックスさせることができます。

 

この心理療法の対象となるのは、

  • 心が折れやすく、自己懸念に陥りやすい。
  • トラウマや強度のストレスで苦しんでいる。
  • うつ症状により心身の健康を害している。
  • 恐怖症、パニック障害、不安障害を抱えている。
  • 特定不能のメンタルヘルス障害や症状がある。
といった症状です。

 

タッピングで思考場に信号を送り、クライアントのネガティブな不快感(ストレス感情)を解消することで心理的問題を解決していくことが目的です。

 

思考場療法は手順が簡単で効果が高く、即効性があり副作用がないという点から、クライアントのセルフケアにも活用できるというメリットもあります。

 

また赤ちゃんからお取り寄り、動物まで幅広く行えることから、日本だけでなく海外の専門家(医師、看護師、心理士、鍼灸師など)が心理療法に取り入れられている心理カウンセリング方法です。